■上杉謙信公之精神

◆上杉家家訓

心に物なき時は、心廣く體泰なり
心に我儘なき時は、愛敬失はず
心に慾なき時は、義理を行ふ
心に私なき時は、疑ふことなし
心に驕なき時は、人を敬ふ
心に誤なき時は、人を畏れず
心に邪見なき時は、人を育つる
心に貪なき時は、人に諂ふことなし
心に怒なき時は、言葉和かなり
心に堪忍ある時は、事を調ふ
心に曇なき時は、心静なり
心に勇なき時は、悔むことなし
心賤しからざる時は、願好まず
心に孝行ある時は、忠節厚し
心に自慢なき時は、人の善を知り
心に迷なき時は、人を咎めず

◆常在戦場の心得

運は天にあり 鎧は胸にあり 手柄は足にあり いつも敵を掌に入れて合戦すべし
きずつくことなし 死なんと戦えば生き 生きんと戦えば必ず死するものなり
家を出ずるより帰らじとおもえば又帰る 帰ると思えばこれまた帰らぬものなり
不定とのみ思うに違わずといえど武士たる道は不定と思うべからず 必ず一定と思うべし